結論:4つの軸で選び、1位は決めない
ネット銀行の法人口座は、手数料・開設の速さ・申込できる対象・カードの有無の4軸で選びます。どの銀行が上かは決まらず、あなたの状況で向く銀行が変わります。
この記事では、ラクスルバンク、GMOあおぞらネット銀行、ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)、PayPay銀行、楽天銀行の5行を、公式サイトの情報だけで並べます。
4つの軸の見方
- 手数料:口座維持手数料と、他の金融機関宛の振込手数料を見ます。振込が月に何件あるかで、差の大きさが変わります。
- 開設の速さ:「最短当日」などの表記は、条件つきです。申込日が休業日でないか、審査で遅れないかも確認します。
- 申込できる対象:法人だけの銀行もあれば、個人事業主向けを別に用意する銀行もあります。
- カードの有無:デビットカード(口座残高からすぐ引き落とされるカード)が付くか、発行手数料や還元率はどうかを見ます。
なお、住信SBIネット銀行は2026年8月3日に「ドコモSMTBネット銀行」へ名称が変わりました。旧名称で探している方のために、本文では併記します。
5行の比較表
次の表は、各行の公式サイトで2026年10月17日に確認した内容です(2026年10月時点の公式サイト)。出典は記事末尾の一覧にあります。
| 銀行 | 口座維持手数料 | 他行宛の振込手数料 | 開設の最短目安 | 申込できる対象 | カード |
|---|---|---|---|---|---|
| ラクスルバンク | 無料 | 一律119円(税込) | 最短当日 | 法人(非課税法人を含む)。個人・個人事業主は不可 | デビット付キャッシュカード(初回発行手数料無料) |
| GMOあおぞらネット銀行 | 0円 | 130円(税込) | 最短即日 | 法人(設立したばかりでも可)。個人事業主は別案内 | ビジネスデビットカード(原則1%キャッシュバック) |
| ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行) | かからない | 100円(税込) | 最短翌日 | 法人口座(個人事業主の可否はここでは記載しません) | デビットカードが付く(審査不要) |
| PayPay銀行 | かからない | 145円(消費税含む) | 最短当日 | 法人口座と個人事業主口座を別に案内 | Visaデビット(年会費・発行手数料無料) |
| 楽天銀行 | 無料 | 3万円未満150円、3万円以上229円(公式の表記) | 申込は最短5分、書類は郵送 | 法人ビジネス口座。個人事業主向けは別ページ | ビジネスデビットカード(JCB、利用額の1.0%キャッシュバック) |
表の注意点は次のとおりです。
- 振込手数料は、他の金融機関宛の通常の金額です。同じ銀行宛は別の料金で、無料の銀行もあります。
- 楽天銀行の金額は、公式ページに税込の明記がないため「公式の表記」としています。
- 新規開設の特典や無料回数などは、期間が限られることがあります。申込前に公式サイトで確認してください。
銀行ごとの特徴と注意点
ラクスルバンク
GMOあおぞらネット銀行の専用支店として提供される、法人向けサービスです。振込手数料は同行宛(GMOあおぞらネット銀行宛)が無料、他の金融機関宛は一律119円(税込)です。
本人確認はマイナンバーカードの読み取りか自撮り動画で、銀行担当者とのWeb面談は不要です。事業内容を確認する書類は最低1点から、最大10点です。
注意点は4つあります。
- 申込できるのは法人だけで、個人事業主は開設できません。
- 当日開設には、取引責任者と代表者が同一であることが条件です。休業日の申込は当日になりません。
- 海外送金の取り扱いはありません。
- カードは口座開設日当日は使えず、後日、転送不要の簡易書留で登録法人住所へ届きます。
カードの利用とラクスルバンク支払いで、ラクスルで使えるポイントが通常2.0%つきます。登録にはラクスルのアカウントが必要です。
GMOあおぞらネット銀行
設立したばかりの法人でも申込できます。会社の登記中は「予約申込」を使うと、登記完了後に即日利用を始められる場合があります。
バーチャルオフィス・レンタルオフィスの登録住所や、固定電話がない場合でも申込できます。他行宛の振込は130円(税込)です。月額500円の振込料金とくとく会員なら121円(税込)になります。設立1年未満の法人には、月20回×最大12カ月の無料特典があります。
注意点は、即日の開設に条件があることです。取引責任者と代表者が同一で、所定の本人確認方法を満たす必要があり、申込内容によっては最短即日にならない場合があります。海外送金は、Wise提携で送金・為替手数料無料をうたっています。
ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)
口座維持手数料とインターネットバンキング利用料は一切かからないと、公式に案内されています。他の金融機関宛の振込は、金額に関わらず100円(税込)です。
総合振込(給与などをまとめて振り込む方法)を使う場合は、他の金融機関宛が一律145円(税込)で、月間基本料金は0円です。表の5行の中では、通常の他行宛振込の金額が低めの水準です。
オンライン口座開設は来店不要で、最短翌日から使えます。口座開設でデビットカードが付き、審査はなく、利用額に応じて最大1.0%のポイント還元があります。会社設立サポート(freee連携)もあります。
注意点は、公式ページが「必要書類は運転免許証だけ」と案内している点です。免許証だけで足りる条件は、申込前に公式サイトで確かめてください。
PayPay銀行
法人口座と個人事業主口座の両方を、公式に案内しています。法人口座は最短当日で開設でき、申込フォームの入力、必要書類のアップロードを経て開設します。キャッシュカード等は後日届きます。
振込手数料は同行宛が0円、他行宛は145円(消費税含む)です。口座維持費やその他の手数料はかかりません。
注意点は4つあります。
- 取引担当者の本人確認が必要で、顔の撮影か、自宅住所での転送不要郵便物の受け取りのどちらかになります。
- 代表者を取引担当者にしない場合は、法人の印鑑証明書が追加で必要です。
- 原則として1法人につき1口座で、当座預金と手形は取り扱いません。
- Visaデビットは審査なしですが、普通預金の残高が10,000円以上ないと使えない旨の注記があります。
楽天銀行
ファームバンキングの初期導入費用、月額利用料、口座開設手数料、口座維持手数料がすべて無料です。ビジネスデビットカード(JCB)は、利用額の1.0%がキャッシュバックされます。海外送金手数料は1,000円(非課税)です。
注意点は、開設までの流れです。WEB申込は最短5分から終わりますが、そのあと押印した申込書と必要書類を郵送します。審査のうえ開設可となると簡易書留が届き、初期設定をして使い始めます。
スマートフォンからは申込できず、パソコンからになります。申込から180日以内に書類が届かないと取り消されます。開設までの日数は公式に書かれていないため、急ぐ場合は余裕を見てください。
状況別の選び方
あなたの状況ごとに、どの軸を重く見るかを整理します。ここで挙げるのは、上の公式情報から言える範囲です。
- 設立直後で、すぐ口座が要る:GMOあおぞらネット銀行は、設立したばかりでも申込でき、登記中の予約申込もあります。ラクスルバンクとPayPay銀行は最短当日、ドコモSMTBネット銀行は最短翌日です。いずれも条件があるので、申込日と書類をそろえてから出しましょう。
- 個人事業主のまま、屋号の口座も考える:法人口座は法人向けです。個人事業主のうちはラクスルバンクを開設できません。PayPay銀行、GMOあおぞらネット銀行、楽天銀行は個人事業主向けを案内しているので、そちらの条件を見ます。法人化の時期が決まっているなら、そのときに法人口座を改めて作る形です。
- 他行宛の振込が多い:他行宛の手数料は、表のとおり銀行ごとに差があります。月の振込件数に手数料を掛けて、合計を比べてください。同じ銀行宛が無料の組み合わせ(取引先が同じ銀行を使っている場合)も効きます。
- カードが要る:5行ともデビットカードがあります。還元率だけでなく、発行手数料、届くまでの方法(簡易書留など)、使える条件(PayPay銀行の残高の注記など)も見てください。
- 書類を郵送したくない:ラクスルバンクは、マイナンバーカードの読み取りか自撮り動画で本人確認ができ、Web面談も不要です。楽天銀行は書類の郵送が必要です。PayPay銀行は、取引担当者の本人確認で、顔の撮影を選べます。
- 自宅住所を出したくない:GMOあおぞらネット銀行は、バーチャルオフィスの登録住所でも申込できると案内しています。審査との関係はバーチャルオフィス住所と審査にまとめています。ただし、ラクスルバンクのカードは登録法人住所へ届くため、受け取れる住所かを確認してください。
法人名義で作る前提で、開設の速さとWeb面談なしの本人確認を重視する方は、ラクスルバンクの法人口座を見るで条件を確認できます。申込にはラクスルのアカウントが必要で、当日開設には取引責任者と代表者が同一であることなどの条件があります。
申込前に確認する手順
比較で候補を2〜3行に絞ったら、次の順で進めると手戻りが減ります。
- 候補の銀行の公式サイトで、申込できる対象と条件を確かめる。
- 必要書類を手元にそろえる。一覧は法人口座開設の必要書類チェックリストにあります。
- 申込の流れは法人口座の開設手順で、先に全体像を見ておく。
- 設立日と申込時期の関係は法人口座開設のタイミングを参考にする。
- 早く開けたいときは法人口座を早く開設するには、手間を減らしたいときは法人口座を簡単に開設する方法を読む。
万一、審査に通らなかった場合も、原因を整理して別の銀行に申し込めます。対処は法人口座の審査に落ちたときで確認してください。
なお、最短当日や最短翌日は、すべての申込に当てはまる日数ではありません。会社の事情や申込内容で変わるため、予定が決まっている場合は、余裕を持って申し込むのが安全です。
料金や条件は、変更されることがあります。申込の直前に、必ず公式サイトで最新の内容を確認してください。