結論:まず創業計画書。見積書・本人確認書類・送金先口座の通帳の写しを足し、法人は履歴事項全部証明書も
日本政策金融公庫(以下「公庫」)の創業予定の方のお手続きの流れ(2026年11月3日取得)によると、インターネット申込のときに準備する書類は、次の9種類です。すべて電子データで用意します。
- 創業計画書
- 見積書(設備資金の申込の場合)
- 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
- 本人確認書類
- 許認可証(飲食店などの許可・届出等が必要な事業の場合)
- 送金先口座の預金通帳の写し(電子契約サービスを使う場合)
- 日本公庫電子契約サービス(国民生活事業)利用申込書(複数の代表者がいる法人の場合)
- 不動産の登記簿謄本または登記事項証明書(担保を希望する場合)
- 推せん書または振興事業に係る資金証明書(生活衛生関係の事業の場合)
すでに事業を始めて税務申告を終えている場合は、これに確定申告書などが加わります。個人事業主の一覧に開業届は載っていませんが、公庫は一覧以外の書類を追加で求める場合があると案内しています。
個人事業主と法人の違いを、小規模事業者/個人事業主の方のお手続きの流れとインターネット申込のページ(いずれも同日取得、公庫の事業資金をはじめて利用する方の一覧)から並べると、次のとおりです。
| 書類 | 個人事業主 | 法人 |
|---|---|---|
| 創業計画書(または企業概要書) | 必要 | 必要 |
| 確定申告書(一式) | 直近期と前期の2期分。1期しか完了していなければ1期分、未了なら提出不要 | — |
| 確定申告書・決算書(勘定科目明細書を含む) | — | 直近期と前期の2期分。1期しか完了していなければ1期分、未了なら提出不要 |
| 試算表 | — | 決算後6カ月以上経過している場合、または事業を始めたばかりで決算を終えていない場合のみ |
| 履歴事項全部証明書 | — | 必要(最近6ヵ月以内のもの) |
| 見積書 | 設備資金の場合のみ | 設備資金の場合のみ |
| 送金先の預金通帳(表紙、見開き1ページ目) | 必要 | 必要 |
| 本人確認書類 | 代表者の方のもの | 代表者の方のもの |
| 許認可証等 | 許可・届出等が必要な事業のみ | 許可・届出等が必要な事業のみ |
| 電子契約サービス利用申込書 | — | 複数(2名以上)の代表者がいる場合のみ |
この記事で分かることは次のとおりです。
- 事業を始める前か後かで、見る公式ページが変わること
- 創業予定の方のページが挙げる書類と、それぞれの条件
- 確定申告書・決算書・試算表が必要になる場合
- 設備資金の見積書と、許認可の書類
- 書式のダウンロード場所
- インターネット申込で添付するときのルール
- 融資が決まったあとに必要になる書類(初回の電子契約と本人確認)
マル経融資(小規模事業者経営改善資金)や生活衛生改善貸付など、利用する融資制度によっては、手続きや添付書類が異なる場合があると公式に書かれています。この記事は、事業資金のインターネット申込の一覧に沿っています。
公式ページの内容は変わることがあります。申込の前に、最新の公式ページと、申込をする支店の案内で確かめてください。
状況別に見る公式ページ:事業を始める前か、始めたあとか
公式は、事業の状況で見るページを分けています。公式の言葉では、「これから事業を開始される場合、または事業を開始して間もない場合は、創業計画書をご準備ください。上記以外の場合は、企業概要書をご準備ください」です。
| あなたの状況 | 見る公式ページ | 計画書の種類 |
|---|---|---|
| 事業を始める前(個人・法人) | 創業予定の方のお手続きの流れ | 創業計画書 |
| 事業を始めて間もない。公庫の事業資金は初めて | インターネット申込のページの「国民生活事業の事業資金をはじめてご利用になる方」 | 創業計画書 |
| 事業を始めてしばらく経つ。公庫の事業資金は初めて | 同上 | 企業概要書 |
| 公庫の事業資金を使った経験がある | 同ページの「ご利用経験がある方」 | 一覧に創業計画書・企業概要書の記載なし |
個人と法人の違いについて、創業予定の方のQ&Aは、「融資申込について、個人と法人とで大きな違いは特にありません」と答えています。違いは、法人で申し込むときに履歴事項全部証明書または登記簿謄本が必要になるくらい、とされています。どちらが有利ということもない、とも書かれています。
創業融資の代表的な制度である新規開業・スタートアップ支援資金のページ(同日取得)にも、「創業計画書のご提出等をいただき、事業計画の内容を確認させていただきます」とあります。対象は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方です。創業融資全体の流れと自己資金の考え方は、開業資金の目安と創業融資の手順で整理しています。
創業予定の方のページが挙げる書類と条件
創業予定の方のページの9種類を、条件つきで並べます。小規模事業者/個人事業主の方のページ(同日取得)に追加の説明がある場合は、その内容を添えます。
| 書類 | 誰が | 条件・注意 |
|---|---|---|
| 創業計画書 | 全員 | 書式は各種書式ダウンロードから。自分で作った計画書でもよい(後述) |
| 見積書 | 設備資金を申し込む人 | 運転資金だけの申込なら一覧に出てこない |
| 履歴事項全部証明書または登記簿謄本 | 法人 | 小規模事業者向けのページでは「最近6ヵ月以内のもの」 |
| 本人確認書類 | 全員 | 運転免許証(両面)、マイナンバーカード(表面のみ)、パスポート(顔写真のページと現住所等の記載のあるページ)のいずれか |
| 許認可証 | 許可・届出等が必要な事業 | 今はまだ取得しておらず、これから取得する予定なら、申込時の準備は不要(小規模事業者向けのページ) |
| 送金先口座の預金通帳の写し | 電子契約サービスを使う人 | 表紙と見開き1ページ目。通帳がなければ、口座情報を確認できるマイページ画面の写しなど |
| 電子契約サービス利用申込書 | 複数(2名以上)の代表者がいる法人 | 該当する法人だけが提出する。押印は不要 |
| 不動産の登記簿謄本または登記事項証明書 | 担保を希望する人 | 創業期の方は、原則として無担保・無保証人で利用できる |
| 推せん書、または振興事業に係る資金証明書 | 生活衛生関係の事業を営む人 | 推せん書は、設備資金の申込金額が500万円以下なら不要 |
郵送で申し込む場合は、これらに加えて「借入申込書(国民生活事業用)」が必要です。インターネット申込では、紙の借入申込書の提出は不要と、公式のQ&Aに書かれています。
口座情報として確認できる項目は、金融機関名、店番、預金の種類、口座番号、口座名義人(漢字・カナ)です。ネット銀行など、通帳がない口座を使う場合の準備になります。
個人事業主と法人で変わる書類:確定申告書・決算書・試算表
事業を始めたばかりで、税務申告をまだ終えていない人は、確定申告書を出す必要がありません。公式は、「税務申告が1期しか完了していない方は1期分をご準備ください。事業をはじめて間もない方で税務申告未了の場合は、ご提出の必要はありません」と書いています。
税務申告が済んでいる場合は、次の点が公式に書かれています(インターネット申込のページと、インターネット申込のQ&A、令和8年9月28日現在)。
- 直近期と、その前期の2期分が必要。「お申込の都度、2期分のご提出が必要」
- 確定申告書は、表紙だけでなく一式をそろえる
- 個人事業主は、青色申告なら青色申告決算書、白色申告なら収支内訳書を含める
- 法人は、確定申告書と決算書の両方と、勘定科目明細書が必要
- 電子申告の場合は、受信通知が添付されているもの。書面申告の場合は、税務署の収受印があるもの(令和6年12月以前に申告を行った確定申告書に限る)
- 個人事業主の確定申告書にマイナンバー(個人番号)が記載されている場合は、黒塗りして読み取れないようにしてから出す
- 推奨は、確定申告書(一式)や決算書をPDF形式で出すこと
法人の決算書は、貸借対照表、損益計算書、販売費および一般管理費内訳書、注記表などが含まれているものとされています。
法人の試算表は、決算後6カ月以上経過している場合、または事業を始めたばかりで決算を終えていない場合のみ必要です。決算を終えていない新設法人は、試算表を出すことになります。
確定申告書や決算書は、帳簿の数字をもとに作る書類です。試算表も、帳簿の集計から作ります。個人事業主の確定申告書の中身は、個人事業主の確定申告の流れで整理しています。
記帳が追いついていない場合や、決算書の作り方が分からない場合は、税理士に相談する方法があります。個別の税務の判断は、税理士または税務署に相談してください。何を、いつまでに頼みたいかを先に整理しておくと、話が進みます。
設備資金の見積書:運転資金だけなら出てこない
見積書は、設備資金(店舗、工場、機械、車両など)を申し込む場合のみ必要です。運転資金(商品仕入、経費支払資金など)だけを申し込む場合は、一覧に出てきません。
見積書は、創業計画書の「8 必要な資金と調達方法」と対になります。記入例(洋風居酒屋)の欄外には、「見積書などを添付してください」「すでに支払済みの場合は領収書・請求書などを添付してください」と書かれています。
記入例は、内外装工事、厨房機器、什器・備品類に見積先の会社名と金額を書き、保証金は金額だけを書いています。設備資金の合計は970万円で、運転資金を足した必要な資金の合計と、調達の合計は、どちらも1,260万円です。
見積もりの取り方について、創業の手引(令和8年5月)は「取得予定の設備について複数社から見積を取得し金額を吟味しているか」を挙げています。セルフチェックリストも、「見積金額が適切か、相場を調べたり、相見積もりを取得するなどして、検証していますか?」と問います。
許認可の書類:原則は必要。取得予定なら申込時は不要
創業予定の方のQ&Aは、許可、認可、登録、指定、届出および認証を必要とする事業が多いと答えています。例として、飲食店は保健所の営業許可、酒類販売業は税務署の免許が挙げられています。
主な受付窓口と許認可営業の例は、次のとおりです(同Q&A)。
| 受付窓口 | 許認可営業の例 |
|---|---|
| 保健所 | 飲食店営業、菓子製造業、食肉販売業、魚介類販売業、旅館業、理容業、美容業、クリーニング業、医薬品等の販売業 など |
| 警察署 | マージャン店、古物商、警備業、指定自動車教習所 など |
| 都道府県庁及びその他官庁 | 酒類販売業、各種学校、旅行業、宅地建物取引業、建設業、運送業、人材派遣業、自動車整備業、ガソリンスタンド など |
許認可が必要かどうか分からないときは、関係窓口や支店窓口に照会するよう案内されています。
国民生活事業をはじめてご利用の方へのページは、営業に許認可が必要な業種の扱いを、「原則として許認可が必要」と答えています。ただし、創業前などの理由があり、今後許認可を受けることが確実な場合は、利用できることがあると書かれています。
申込の書類としては、今はまだ取得しておらず、これから取得する予定の場合、許認可証等は申込時の準備が不要とされています。創業計画書にも、許認可(許可・届出等)の欄があり、「特になし」「有」「申請中」から選びます。
書式のダウンロード場所
書式は、公式の各種書式ダウンロード(小規模事業者/個人事業主の方)のページで入手します。創業計画書は、創業計画の書き方のページにもあります。
| 書式 | 形式 | 説明(公式の言葉) |
|---|---|---|
| 創業計画書 | Excel、PDF | 新たに事業を始める方に事業計画等を記入してもらうもの |
| 創業計画書の記入例 | PDF(9業種) | 洋風居酒屋、美容業、中古自動車販売業、婦人服・子供服小売業、ソフトウェア開発業、内装工事業、学習塾、歯科診療所、介護サービス |
| 創業計画書セルフチェックリスト | PDF、公式サイトのページ | 計画書の見直しや、申込前の再確認に使う |
| 企業概要書 | Excel、PDF | はじめて取引する方に、取扱商品・サービス等の企業内容を簡単に記入してもらうもの |
| 借入申込書(国民生活事業) | 郵送で申し込む場合に使う。押印は不要 | |
| 月別収支計画書 | Excel | 創業計画書で、月別の詳細な収支計画を策定する場合に使う |
| 日本公庫電子契約サービス利用申込書 | Excel、PDF | 複数の代表者がいる法人など。押印は不要 |
創業計画書の様式の上部には、「この書類に代えて、お客さまご自身が作成された計画書をご提出いただいても結構です」と書かれています。また「可能な範囲でご記入いただき」とも書かれ、すべての欄を埋める前提ではありません。
インターネット申込で添付するときのルール
インターネット申込の流れは、必要書類の準備、日本公庫ダイレクトへのログイン(会員登録がまだなら新規登録。無料)、申込情報の入力の3段階です。3段階目で、申込内容の入力と書類のアップロードをすると、申込が完了します。
添付の形式やファイル名について、公式のQ&A(令和8年9月28日現在)が定めている内容は次のとおりです。
- 形式:Excel、WordまたはPDFでの電子化を推奨。確定申告書(一式)や決算書は、PDF形式を推奨
- ファイル名:書類の中身がわかるように付ける。例は「令和●年確定申告書一式」「営業許可証」「運転免許証」
- 圧縮:確定申告書や決算書は、決算期ごとにZIP形式にできる。それ以外の書類は、種類の異なる書類同士の圧縮を控える(本人確認書類と見積書を1つにしない、など)
- 一時保存:入力した内容とアップロードした書類を保存できる。保存期間は72時間で、過ぎると破棄される。同じメールアドレスを再度登録した場合も破棄される
- 申込内容の控え:申込完了後に、自分で内容を確認する方法はない。完了前の確認画面の「印刷する」から、印刷または保存する
申込が完了すると、「事業資金のお申込データを受付しました」という件名のメールが届きます。届かないときは、申込が完了していない可能性があるため、申込をした支店に連絡します。
申込完了後に、書類のアップロード漏れに気づいても、追加でアップロードする方法はありません。申込内容の変更も、自分ではできません。いずれも、申込をした支店に連絡するよう書かれています。
また、公式は、アップロードした書類のほかに、追加の提出をお願いする場合があると案内しています。提出した書類は、原則として返却されません。
融資が決まったあとに必要な書類:初回の電子契約と本人確認
融資が決まると、契約手続きの案内があります。契約は日本公庫電子契約サービス(国民生活事業)で行い、ここでも書類が必要です(電子契約サービスのページと手続きのご案内、2026年11月3日取得)。
- 初めて電子契約を使う場合:融資の決定後に送られる「利用に関する同意書」に署名・押印して書面で提出し、3ヵ月以内の印鑑証明書を添える。法人は、法人と連帯保証人となる代表者について、それぞれ必要
- 本人確認書類のアップロード:契約手続きを本人が行ったことを確認するための手続き。公庫が代わりにアップロードすることはできない
- 運転免許証:「免許の条件等」欄や本籍の記載があれば、無地の紙などで覆い隠した状態で撮影する
- マイナンバーカードの裏面と、現住所の記載がないパスポートは、アップロードの対象外
- パスポート:電子契約のよくあるご質問は、「2020年2月3日以前に発給された現住所の記載のあるパスポートは使用可能」としている
書面で出す書類の公庫への到着期限は、ご融資予定日の4営業日前です。運転免許証・マイナンバーカード・パスポートのいずれもない場合の代わりの書類は、電子契約のよくあるご質問に挙げられています。
つまずきやすい点:公式のQ&Aから
- 法人は、設立登記が先です。創業予定の方のQ&Aは、資本金の払込にあてる資金は融資の対象外で、法人を設立して創業する場合は設立登記後の法人が対象と答えています。履歴事項全部証明書は、設立登記が済んでから用意します。手順は会社設立の手順とオンライン登記で整理しています
- 創業予定地が決まっていない場合は、出店地を決定してから申し込むよう案内されています。資金計画と収支計画が固まらないためです
- 申込窓口は、個人は創業予定地を管轄する支店、法人は法人登記上の本店所在地を管轄する支店です。遠方の場合は、住まいの近くの支店に相談します
- 本人確認書類は、運転免許証は両面、マイナンバーカードは表面のみ、パスポートは顔写真のページと現住所等の記載のあるページです
- 開業届は、今回確認した一覧に載っていません。開業届の提出方法は開業届の書き方と提出方法にあります。提出の要否は、申込をする支店に確かめてください
申込前のチェックリスト
- 事業を始める前か、始めたあとかを確かめ、見る公式ページを決めた
- 創業計画書(または企業概要書)を、公式の書式で作った
- 設備資金を申し込む場合は、見積書を用意し、計画書の金額と合わせた
- 本人確認書類(運転免許証は両面など)を、電子データにした
- 送金先口座の預金通帳の写し(表紙、見開き1ページ目)を、電子データにした
- 許認可が必要な事業は、許認可証、または取得予定の状況を確かめた
- 法人は、履歴事項全部証明書(最近6ヵ月以内)を用意した
- 税務申告が済んでいる場合は、確定申告書(一式)または決算書を2期分用意した
- 決算前の新設法人は、試算表の要否を確かめた
- ファイル名を、書類の中身が分かる名前にした
- 初めて電子契約を使う場合は、決定後に同意書と印鑑証明書(3ヵ月以内)が要ることを知っている
- 日本公庫ダイレクトの会員登録を済ませ、「@jfc.go.jp」のメールを受信できるようにした
よくある質問とまとめ
運転資金だけを借りるときも、見積書は必要ですか
公式の一覧では、見積書は設備資金を申し込む場合のみとされています。運転資金だけを申し込む場合は、一覧に見積書が出てきません。創業計画書の「必要な資金」の欄には、運転資金の内訳を書きます。
郵送でも申し込めますか
創業予定の方のページに、郵送の申込を希望する場合は、借入申込書(国民生活事業用)をあわせて提出するとあります。インターネット申込のほうが案内が早くなると、公式のQ&Aに書かれています。
まとめ
公庫の創業融資の必要書類は、創業計画書を中心に、設備資金なら見積書、法人なら履歴事項全部証明書、そして本人確認書類と送金先口座の通帳の写しなどです。事業を始めて税務申告を終えている場合は、確定申告書(法人は決算書も)が2期分加わります。
書式は、公庫の各種書式ダウンロードのページで入手できます。インターネット申込では、申込の完了後に書類を追加できないため、出す前に漏れを確かめてください。
審査の結果は約束されていません。不明な点は、申込をする支店か事業資金相談ダイヤル(0120-154-505)に確認してください。