結論:連携は「控除の入力を減らす仕組み」で、事業の数字は別に用意する
マイナポータル連携とは、保険料や医療費などの控除に関する情報を、確定申告書へ自動で取り込む仕組みです。入力の手間と転記ミスを減らせます。
一方で、個人事業主にとって中心となる売上と経費は、連携では入りません。ここは会計ソフトや帳簿で集計した数字を使います。
この記事では、準備するもの、操作の流れ、つまずきやすい点を順に説明します。料金や対象項目は年によって変わることがあるため、最終確認は公式ページで行ってください。
連携でできることと、できないこと
連携でできることは、各種の控除証明書などのデータを、国税庁の確定申告書等作成コーナーに取り込むことです。紙の証明書を見ながら金額を打ち込む作業が減ります。
対象になる項目は、制度の更新に合わせて広がってきました。そのため「自分の控除が対象か」は、申告する年の公式案内で確認するのが確実です。
| 項目 | 連携で入るか | 補足 |
|---|---|---|
| 各種控除に関する情報(保険料・医療費など) | 対象のものは入る | 対象の範囲は年により変わる |
| 事業の売上 | 入らない | 帳簿・会計ソフトから入力 |
| 事業の経費 | 入らない | 領収書や取引明細を集計して入力 |
| 青色申告の決算書の数字 | 入らない | 会計ソフトで作成した内容を使う |
| 基本情報(氏名・住所など) | カード読み取り時に入る場合がある | 表示内容は必ず目で確認 |
つまり、連携は申告書の「控除」の側を楽にするものです。「売上と経費」の側は、日々の記帳がそのまま作業量になります。
始める前に準備するもの
準備不足で途中で止まるケースが多いため、先に次の四つをそろえます。
- マイナンバーカード(有効期限内のもの)
- 利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)と、署名用電子証明書の暗証番号(英数字6〜16桁)
- カードを読み取れる環境(対応するスマートフォン、またはICカードリーダー)
- マイナポータルのアカウントと、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使える端末
暗証番号を忘れていたり、入力を続けて間違えてロックされたりすると、市区町村の窓口での手続きが必要になることがあります。申告期限の直前に慌てないよう、早めに確認しておくと安心です。
[要実演スクショ: マイナポータルのログイン画面(カード読み取り前)]
連携の手順(確定申告書等作成コーナーを使う場合)
画面の表記は更新されることがあります。ここでは大まかな流れを示します。
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーを開き、申告書の作成を始める。
- 提出方法でマイナンバーカード方式(e-Tax)を選ぶ。
- 控除に関する情報の入力画面で、マイナポータル連携を選ぶ。
- 画面の案内に従い、マイナポータルへログインしてカードを読み取る。
- 取り込む情報にチェックを入れ、確認画面で内容に同意する。
- 申告書の画面に戻り、取り込まれた金額が反映されているか確認する。
[要実演スクショ: 確定申告書等作成コーナーのマイナポータル連携選択画面]
[要実演スクショ: 取り込み項目の選択画面と反映後の入力画面]
反映された金額は、そのまま信じず、手元の証明書や通知と見比べます。取り込みの時期が遅い項目や、対象外の項目は反映されないことがあるためです。
売上と経費は、どこで数字を作るか
連携が終わっても、事業の数字がなければ申告書は完成しません。ここでは「数字をどこで作るか」の考え方を整理します。
方法は大きく三つあります。
- 帳簿を手書きや表計算で作り、申告書に手入力する
- 会計ソフトで記帳し、申告書のデータを作る
- 税理士に記帳や申告を依頼する
選ぶときの比較軸は、次のとおりです。
| 比較軸 | 確認すること |
|---|---|
| 記帳の手間 | 銀行口座やカードの明細を自動で取り込めるか |
| 申告書との接続 | 作成したデータを電子申告へ渡せるか |
| 青色申告への対応 | 決算書の作成に対応しているか |
| 料金 | 申告する年の公式料金ページで、必要な機能が含まれるプランか |
| 相談先 | 操作や制度で迷ったときの問い合わせ方法 |
会計ソフトを使う場合、マイナポータル連携に対応したものもあります。連携の入口がソフト側にあるか、国税庁のコーナー側にあるかは、サービスごとに異なります。
事業の記帳から申告書の作成までを一つの流れでまとめたい場合は、確定申告ソフトを見るで、対応する機能や料金を公式の情報で確認できます。連携の対象や操作は、申告する年の案内もあわせて確認してください。
つまずきやすい点と対処
よくあるつまずきは、次の四つです。
- 暗証番号の種類を取り違える:連携では複数の暗証番号を使い分けます。どの画面でどの番号を求められているか、表示をよく読みます。
- カードの読み取りに失敗する:スマートフォンのケースを外す、カードの位置をずらすなどで改善する場合があります。
- 取り込んだはずの金額がない:対象外の項目か、データがまだ届いていない可能性があります。その場合は、証明書を見て手入力します。
- 途中保存を忘れる:作成途中のデータは、保存しないと消えることがあります。区切りごとに保存します。
また、連携で入力が楽になった分、確認が雑にならないようにしましょう。提出後の誤りは、訂正の手間が増えます。
[要実演スクショ: 取り込み結果の確認画面]
あなたの場合はどうするか
状況別に、進め方の目安を示します。
開業届を出していない、または出す前の場合 開業届と確定申告は別の手続きです。連携は申告のための機能なので、開業届の有無にかかわらず使えます。ただし、青色申告を考えているなら、申請の期限や条件を国税庁の案内で先に確認してください。
今年に独立したばかりで、売上が少ない場合 売上が小さくても、事業の収入や経費は記録しておく必要があります。連携で控除の入力を減らし、浮いた時間を記帳にまわすのが現実的です。
法人にした場合 法人の決算申告は、個人の確定申告とは別の手続きです。ただし代表者個人の所得や控除の申告で、連携を使う場面はあります。法人側は税理士や会計ソフトの案内に沿って進めます。
自宅住所を出したくない場合 申告書には、原則として申告者の住所を記載します。住所の扱いに不安があるときは、管轄の税務署に、どの住所を書くべきか相談するのが確実です。この記事では個別の取り扱いを断定しません。
マイナンバーカードを持っていない場合 連携は基本的にカードを使います。カードを作る期間も考え、申告時期から逆算して早めに動きます。カードを使わない申告方法は、国税庁の案内で確認できます。
申告までの段取りと提出前の確認
最後に、申告までの流れを確認します。
- 年間の売上と経費を帳簿や会計ソフトで締める
- 国税庁のコーナーで申告書の作成を始める
- マイナポータル連携で控除情報を取り込む
- 売上・経費の数字を入力または取り込む
- 控除額と納める税額を、手元の資料と見比べて確認する
- e-Taxで送信し、受信通知を保存する
提出後に受け取る受信通知や、控えのデータは、保管しておきます。融資や取引先への提出などで、所得の証明が必要になる場面があるためです。
連携は便利ですが、申告の責任は申告者本人にあります。不明点は、税務署の案内窓口や税理士に確認しながら進めてください。
制度や画面は更新されることがあります。実際に操作する前に、以下の公式ページで最新の案内を確認しましょう。
- 国税庁 e-Tax:https://www.e-tax.nta.go.jp/
- 確定申告書等作成コーナー:https://www.keisan.nta.go.jp/
- マイナポータル:https://myna.go.jp/