ETCクレジットカードの場合、ETC利用照会サービスで「利用証明書」を発行できます。インボイスの対象になるのは、料金が確定してから発行した利用証明書です。
カードの利用明細だけでは、適格請求書(インボイス)には当たらないと国税庁のQ&Aにあります。ただし、利用が多いときは、カード利用明細と、利用した道路会社ごとに任意の1取引分の利用証明書を併せて保存する方法も認められています。
ETCコーポレートカードは扱いが異なり、後納料金等請求書等がインボイス制度に合わせた様式になっています(NEXCO中日本の案内)。ETCパーソナルカードの扱いは発行元の案内で確認してください。
この記事では、ETC利用分の証拠をどう残すかを、公式の案内にそって順に説明します。税務の内容は国税庁の一般的な案内にとどめます。個別の判断は税理士・税務署へご相談ください。
ETC 領収書の早見表:カードの種類別に何を保存するか
まず、手元のカードや書類ごとに、インボイスとして扱えるかを表にまとめます。
| 書類・手段 | 対象となるカード | インボイスの扱い |
|---|---|---|
| 利用証明書(料金確定後に発行) | ETCクレジットカード | 対象 |
| 利用証明書(料金確定前に発行) | ETCクレジットカード | 対象外 |
| 後納料金等請求書等 | ETCコーポレートカード | インボイス制度に合わせた様式(NEXCO中日本の案内) |
| ETCプリンターで印刷した利用明細書 | ETCカード全般 | 対象外 |
| カード会社の利用明細 | クレジットカード | 一般的に適格請求書には該当しない(原則) |
出典:NEXCO中日本の案内(2026年10月26日確認)、ETC総合情報ポータル、国税庁Q&A問103(2026年10月17日確認)。
ETCクレジットカードの場合の中心になるのが、次の章で説明するETC利用照会サービスです。
自分がどの区分か分からないときは、カードの券面やカード会社の案内で、ETCクレジットカード、ETCコーポレートカード、ETCパーソナルカードのどれに当たるかを確認してください。
なお、ETCレーンを無線で通過したときの領収書の扱いは、高速道路会社の公式の案内(ETC利用照会サービス)で確認してください。
ETC利用照会サービスとは:利用証明書の発行と利用明細の確認
ETC利用照会サービスは、ETCカードで走行した内容をインターネット上で確認できるサービスです。ETC総合情報ポータルの案内によると、次の内容が基本です。
- 対象は、ETCクレジットカード、ETCパーソナルカード、ETCコーポレートカードを使う方です。
- 過去15か月間(ETCコーポレートカードは過去62日間)の利用証明書の発行と、利用明細の確認ができます。
- 利用明細は、PDFファイルまたはCSVファイルでダウンロードできます。
- ETC無線走行と、ETC非無線走行(ETCカード手渡し精算)の両方が反映されます。
- 登録した車両以外の車で走行しても、登録したETCカードで利用していれば、利用証明書・利用明細の発行と確認ができます。
また、ご利用金額が確定した段階で、インボイス要件を満たした利用証明書が発行可能になります。「いつ発行するか」が重要になるため、後の章で詳しく扱います。
使い始める前に:登録に必要なものと注意点
利用証明書を発行するには、先にサービスへの登録が必要です。公式ページに書かれている条件は次のとおりです。
- ETCカードを用意する。
- メールアドレスを用意する。
- そのETCカードで、ETC無線通行により高速道路を利用した際の「車載器管理番号」「車両番号(ナンバープレートの4桁の番号)」「ご利用年月日」を控えておく。
登録できる条件として、ETCクレジットカードとETCパーソナルカードは過去15か月以内に少なくとも1回、ETCコーポレートカードは過去62日間に少なくとも1回、ETC無線通行で高速道路を利用していることが必要です。
登録の手順や画面の細かい流れは、公式ページの案内に従ってください。
登録後の注意点が二つあります。
- 本登録の完了後、利用明細が表示されるまで4時間程度かかります。
- 450日間サービスを利用しないと、自動的に登録取消し(解約)となります。
インボイスになる利用証明書・ならない利用証明書
同じ「利用証明書」でも、インボイスになるものとならないものがあります。分かれ目は発行のタイミングです。
- 料金が確定した後に発行した利用証明書:インボイス対象
- 料金が確定する前に発行した利用証明書:インボイス対象外
NEXCO中日本の案内では、令和5年10月1日以降の利用について、全ての支払い手段でインボイスに対応したとされています。
ETC利用照会サービスでのインボイス対応の利用証明書は、NEXCO中日本の案内ではETCクレジットカードの場合として示されています。ETCコーポレートカードとETCパーソナルカードの扱いは、次の節で説明します。
ETCプリンターで印刷した利用明細書も、インボイス対象外です。
料金が確定する前に発行したものは対象外なので、確定後に発行したものを保存してください。
カードの利用明細だけでよいか:国税庁Q&A問103の考え方
「カード会社から届く利用明細があるから、それで足りるのでは」という疑問に対し、国税庁Q&A問103では次のように整理されています。
- クレジットカード会社が利用者に交付する利用明細書は、一般的に適格請求書には該当しません。
- ETCクレジットカードで精算した場合に仕入税額控除を受けるには、原則として、ETC利用照会サービスから通行料金確定後に利用証明書をダウンロードして保存する必要があります。
- 高速道路の利用が多頻度にわたり、全部の利用証明書の保存が困難なときは、カード利用明細書と、利用した高速道路会社および地方道路公社などごとの任意の一取引に係る利用証明書を併せて保存することで差し支えないとされています。
3番目の方法には、注記があります。
- 利用証明書は、カード利用明細書を受け取るたび(毎月)に取得する必要はなく、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引分を1回のみ取得・保存すれば足ります(高速道路会社等が適格請求書発行事業者の登録を取りやめないことが前提)。
- ダウンロードできる15か月の間に、同じ道路会社等の道路を繰り返し利用しているなら、結果としてダウンロードは不要となり、カード利用明細書の保存のみで足りる場合があります。
- 電磁的記録(電子データ)は、電子帳簿保存法に準じた方法での保存が必要です。
- 空港連絡橋利用税など、消費税の課税対象にならない金額は、仕入税額控除の対象外です。
電子データの保存方法は、領収書の電子保存の考え方で整理しています。そもそも何が経費になるかは、経費になるもの・ならないものも参考にしてください。
この取扱いが自分の事業に当てはまるかどうかは、事業の形態や課税の区分によって変わります。最終的な判断は税理士・税務署に確認してください。
ETCコーポレートカード・パーソナルカードの場合
ETCコーポレートカードとETCパーソナルカードは、ETC利用照会サービスの対象ではあります。ただし、インボイスの扱いは異なります。
NEXCO中日本の大口・多頻度割引のページでは、ETCコーポレートカードの後納料金等請求書等のレイアウトを、インボイス制度に合わせて変更したと案内されています。ETCパーソナルカードの扱いは、今回確認した公式の案内では確かめられなかったため、発行元の案内を確認してください。いずれも、利用証明書のダウンロードで対応する前提のETCクレジットカードとは、保存するものが変わります。
整理すると次のとおりです。
- 自分のカードがコーポレートかパーソナルかを確認する。
- コーポレートカードは、届く後納料金等請求書等を期間ごとに保存する。パーソナルカードは、発行元の案内で保存する書類を確認する。
- 利用内容の確認にETC利用照会サービスを使う場合は、コーポレートカードの照会期間が過去62日間である点に注意する。
62日間という期間は短いため、確認したい内容がある場合は、期間内に取得しておく必要があります。請求書の保存方法は、領収書の電子保存の考え方を参考にしてください。
なお、交通費全般の考え方については、新幹線など交通費全般の領収書でまとめています。
法人・個人事業主向けのETCカードの例
事業でETCを使う場合のカードの一つに、ETC協同組合の法人ETCカードがあります。公式サイトによると、法人と個人事業主が対象で、組合加入の出資金は1社につき1万円、複数枚発行しても1社1万円です。2023年10月からインボイス対応の請求書を発行しているとも表記されています。申し込み条件はETC協同組合の公式サイトで確認してください。
利用履歴の印刷:インボイス対象外であることに注意
ETCカードには、最大100件程度の利用履歴が記録されています(カードによって件数は異なります)。この履歴を読み取り、ETC利用明細書として印刷できます。
高速道路のSA・PAなどに設置されている卓上プリンターなどで印刷でき、印字される情報は入口料金所、出口料金所、利用年月日、利用料金などです。
ただし、ETCプリンターで印刷される利用明細書は、インボイス対象外です。
インボイスが必要な場合は、利用証明書や請求書など対象となる書類を別に保存してください。
ETC 領収書・インボイスのチェックリスト
最後に、手続きの抜け漏れを防ぐための項目を並べます。
- 使っているカードが、ETCクレジットカード、コーポレートカード、パーソナルカードのどれかを確認した。
- ETC利用照会サービスに登録した(カード、メールアドレス、車載器管理番号、車両番号、利用年月日を用意した)。
- 過去15か月以内(コーポレートは62日間)にETC無線通行を1回以上利用している。
- 利用証明書は、料金が確定した後に発行した。
- 利用が多い場合は、カード利用明細と、道路会社ごとの任意の1取引分の利用証明書を保存した。
- 電子データは、電子帳簿保存法に準じた方法で保存した。
- 課税対象にならない金額(空港連絡橋利用税など)を区別した。
- 450日間サービスを使わないと解約になることを把握し、定期的にログインしている。
まとめ:ETC 領収書は「利用証明書」か「請求書」で整える
ETCクレジットカードなら、ETC利用照会サービスの利用証明書がインボイスの中心です。料金確定後に発行することが条件です。
カード利用明細だけでは、一般的に適格請求書に当たらないとされています。ただし、利用が多い場合は、道路会社ごとに任意の1取引分の利用証明書を併せて保存する方法があります。
コーポレートカードは後納料金等請求書等で対応し、パーソナルカードは発行元の案内を確認します。ETCプリンターの印刷は、インボイス対象外です。
税務上の取扱いは個別の事情で変わります。迷ったときは、税理士・税務署にご確認ください。