結論:順番は「労働基準監督署 → ハローワーク」。設置届の期限は、適用事業に該当した日の翌日から10日以内
厚生労働省の「労働保険の成立手続」(2026年11月3日取得)によると、労働者を雇う事業を始めたら、一般の事業ではまず労働基準監督署に労働保険の保険関係成立届を出します。そのあと、ハローワーク(公共職業安定所)に雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を出します。
雇用保険適用事業所設置届の期限は、適用事業に該当した日(労働者を雇用する事業を開始した日)の翌日から起算して10日以内です。提出先は、事業所の所在地を管轄するハローワークです。
労災保険と雇用保険の保険料をまとめて申告する「一元適用事業」(農林水産業・建設業などを除く、ふつうの会社や個人事業)の順番と期限は、次のとおりです。
| 順番 | 出す書類 | 提出先 | 期限 |
|---|---|---|---|
| 1 | 労働保険保険関係成立届 | 所轄の労働基準監督署 | 保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内 |
| 2 | 労働保険概算保険料申告書 | 労働基準監督署・都道府県労働局・金融機関のいずれか | 成立した日の翌日から起算して50日以内(成立届のあと、または同時) |
| 3 | 雇用保険適用事業所設置届 | 所轄のハローワーク | 設置の日の翌日から起算して10日以内 |
| 4 | 雇用保険被保険者資格取得届 | 所轄のハローワーク | 資格取得の事実があった日の翌月10日まで(設置届と同時に出す) |
建設業・農林水産業などの「二元適用事業」は、提出先が変わります。後の見出しで整理します。
この記事で分かることは次のとおりです。
- 初めて雇うときの手続きの順番と、それぞれの期限
- 設置届に持っていく書類と、書き方の要点
- 電子申請(e-Gov)でできることと、注意する点
- 個人事業主の場合の違いと、期限に遅れたときの扱い
この記事は、厚生労働省の「雇用保険事務手続きの手引き」令和8年8月版(第1編・第2編)を中心に、2026年11月3日に確認した内容です。期限や様式は改正されることがあるので、出す前にハローワークの最新の案内を確かめてください。
手続きの順番:成立届、概算保険料、設置届と資格取得届
手引き第1編(令和8年8月版)P.29のQ&Aは、従業員1名を雇って会社を設立する例で、次の順番を示しています。先に成立届を出し、そのあと、受理印の押された成立届の事業主控と確認書類を添えて、設置届と資格取得届を出します。
- 管轄の窓口を調べる。 厚生労働省の「全国労働基準監督署の所在案内」と「全国ハローワークの所在案内」(どちらも2026年11月3日取得)で、事業所の所在地を管轄する窓口が分かります。
- 労働基準監督署に「労働保険保険関係成立届」を出す。 提出すると労働保険番号(14桁)が付きます(手引き第1編P.14、P.27)。受理印の押された事業主控は、次の手続きで使います。
- 「労働保険概算保険料申告書」を出して、保険料を納める。 成立届を出したあと、または同時に出します。
- ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を同時に出す。 手引きは、資格取得届を設置届と同時に出すよう書いています(P.12)。
- ハローワークから渡される書類を保管する。 設置届を出すと、11桁の雇用保険適用事業所番号が付与されます。以後の雇用保険の届出に使う番号です(P.27)。
期限の数え方
成立届・概算保険料・設置届は、いずれも「翌日から起算して」と書かれています。成立した日の当日は数えず、翌日を1日目として数えます。
たとえば成立した日が4月1日なら、4月2日が1日目、4月11日が10日目です。これは公式の書き方を当てはめた計算です。期限の日が土日祝日にあたるときの扱いは、今回確認した公式ページに見当たりませんでした。
資格取得届だけは数え方が違います。手引き第2編(令和8年8月版)P.18は、期限を「雇用した日の属する月の翌月10日まで」としています。4月中に雇った人なら、5月10日までです。
窓口に行くとき
手引き第1編P.4によると、ハローワークは雇用保険の適用窓口への来所を16時までの受付とし、16時以降は電子申請の集中処理にあてています。16時を過ぎて持ち込むと、その場では処理できません。
手引きは、個人情報の漏えいを避けるため、郵送での提出はひかえるようお願いしています。郵送するときは、書留などの記録の付く郵便で、返信用封筒を同封するよう書かれています。
「適用事業に該当した日」はいつか
手引き第1編P.12は、設置届の期限の起点を「適用事業に該当(労働者を雇用する事業を開始)した日」と書いています。設置届の「設置年月日」は、成立届の「成立年月日(雇用)」と同じ日を書きます(P.16)。
契約を結んだ日と最初に働く日が違う場合に、どちらを起点にするか。この点を具体的に書いた記載は、今回確認した公式ページに見当たりませんでした。迷うときは、成立届を出す労働基準監督署か、ハローワークに確認してください。
必要書類:設置届に持っていくもの
手引き第1編(令和8年8月版)P.12によると、設置届を出すときに持っていくものは次の3つです。
| 書類 | 手引きの記載 |
|---|---|
| 労働保険保険関係成立届の事業主控 | 労働基準監督署で受理印を押されたもの |
| 事業の実在を確認できる書類 | 法人は登記事項証明書(設置届に法人番号が書かれていれば省略できる)。そのほか事業許可証、工事契約書、不動産契約書など |
| 賃金台帳・労働者名簿・出勤簿(タイムカード等) | 労働者を雇ったことが分かる帳簿 |
次の点にも注意が書かれています。
- 事業所の所在地が登記と違うときは、公共料金の請求書や賃貸借契約書など、所在地が書かれた書類が別に要ります
- 必要に応じて、事業の実在を確認するための書類の追加依頼や、実地調査が行われることがあります
労働者名簿は労働基準法第107条、賃金台帳は同法第108条に基づく帳簿だと、手引きの「労務関係の帳簿等」の欄に書かれています。名簿には氏名・生年月日・住所・雇入れ年月日など、賃金台帳には賃金総額と各種控除額・基本給と諸手当の内訳・賃金計算期間・労働日数などを記載する、と例示されています。
この2つの帳簿は窓口に持っていくので、初めて人を雇うときは、行く前に作っておくことになります。詳細は労働基準監督署へ問い合わせるよう、手引きに書かれています。
資格取得届に付ける書類
手引き第2編(令和8年8月版)P.18によると、資格取得届の添付書類は、原則として要りません。ただし、次のような場合は必要です。
- 事業主として初めての被保険者資格取得届を出す場合
- 提出期限を過ぎて出す場合
- 過去3年間に事業主の届出が原因の不正受給があった場合、労働保険料を滞納している場合など
初めて雇う人の届出は、最初の場合にあたります。付ける書類は、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)、その他その労働者を雇ったことと雇った年月日が分かるものです。期間を定めて雇う人は、労働条件を書面で確認できる就業規則や雇用契約書なども付けます。
資格取得届にはマイナンバーを書いて出します(P.18)。
役員・同居の親族・在宅勤務の人を届け出るとき
手引き第2編P.18は、株式会社などの取締役で従業員の身分もある人、事業主と同居している親族、在宅勤務者の届出では、雇用関係を確認するための書類が要ると書いています。様式は、同じ手引きのP.63〜65に「兼務役員雇用実態証明書」「『同居の親族』雇用実態証明書」「在宅勤務雇用実態証明書」として載っています。
小さな会社や個人事業では、家族や役員に手伝ってもらうことがよくあります。その人が雇用保険の対象になるかどうかは、後の「誰が被保険者になるか」で整理します。
書き方:設置届の記入欄で迷いやすい点
設置届の用紙は、ハローワークで配布されているほか、ハローワークインターネットサービスの「帳票一覧」(2026年11月3日取得)の「事業所に関する手続き」からダウンロードできます。手引き第1編P.11によると、印刷はA4の白色用紙に等倍(倍率100%)で行います。
記入例のP.16には、次の注意が書かれています。
| 欄 | 手引きの記載 |
|---|---|
| 法人番号 | 国税庁から通知される13桁の番号。個人事業の場合は記入不要 |
| 事業所の名称(カタカナ) | 数字は使わず、カタカナと「-」の記号だけで書く。個人の場合は、屋号のほか事業主の氏名も書く |
| 事業所の名称(漢字) | 漢字・カタカナ・ひらがな・英数字ではっきり書く |
| 事業所の所在地 | 都道府県名は書かない。1行目に特別区名・市名または郡名と、それに続く町村名、2行目に丁目・番地だけを書く。ビル名やマンション名は3行目に書く(いずれも左詰め) |
| 設置年月日 | 雇用保険の適用事業になった年月日。成立届の「成立年月日(雇用)」と同じ |
| 労働保険番号 | 成立届を労働基準監督署に出した事業所は、事業主控に書かれた番号を書く |
用紙には裏面もあります。手引きは「裏面も忘れずに記入してください」と注意しています。
筆記具と用紙の扱い
雇用保険の届出用紙は、機械(OCR)で読み取って処理されます(手引き第1編P.4〜5)。決まりは次のとおりです。
- □の記入枠は、HB程度の鉛筆で書く。それ以外の部分は、ボールペンやゴム印でもよい
- 文字は標準字体のカタカナ、アラビア数字、「-」の記号で、枠からはみ出さないように大きく書く
- 年月日は、年・月・日が1桁なら「0」を足して2桁にする(令和8年9月1日は「080901」)
- 用紙は折り曲げず、ホチキスでとめたり、とじ穴をあけたりしない
電子申請:できる手続きと、必要なもの
雇用保険の設置届と資格取得届は、e-Govから電子申請できます。厚生労働省の「雇用保険関係手続き 電子申請のご案内」(2026年11月3日取得。発行年月の記載は確認できませんでした)が、電子申請できる手続きに「雇用保険の事業所設置の届出」と「雇用保険被保険者資格取得届」を挙げています。
労働保険の手続きは、厚生労働省の「電子申請で届出できる項目一覧」(2026年11月3日取得。作成日の記載は確認できませんでした)で、使える認証方法が手続きごとに分かれています。
| 手続き | 電子申請 | 電子証明書 | GビズID |
|---|---|---|---|
| 労働保険 保険関係成立(継続事業) | できる | 〇 | -(対応していない) |
| 労働保険 概算保険料の申告(継続事業) | できる | 〇 | 〇 |
| 雇用保険 適用事業所設置届 | できる | 〇 | 〇 |
| 雇用保険 被保険者資格取得届 | できる | 〇 | 〇 |
雇用保険の2つは、手引き第1編P.8の記載(「電子証明書」または「GビズID」が必要)にもとづきます。成立届を電子申請するには、GビズIDでは足りず、電子証明書が要ると読めます。電子証明書の取得には費用がかかります(手引きP.9)。
電子申請の注意点
- 手引きは、電子申請でも原則として添付書類が必要だと書いています。スキャナーなどで取り込んで届出書と一緒に送るか、別に郵送します(手引き第1編P.9)。
- 資格取得届は、電子申請でも添付書類が原則ありません。ただし、事業主が新たに適用事業を開始したことに伴う初めての届出は必要です(「雇用保険関係手続き 電子申請のご案内」)。
- e-Govの電子申請は、パソコンのアプリケーションで行います。e-Govのトップページ(2026年11月3日取得)は、スマートフォンからは届出できないと案内しています。
- GビズIDと、日本年金機構が配布する届書作成プログラムは無料です(手引き第1編P.8)。
- 利用準備は、アカウントの準備(e-Govアカウント、Microsoftアカウント、GビズIDアカウントのいずれか)、ブラウザの設定、アプリケーションのインストールの順です(「労働保険関係手続の電子申請について」)。
- 資本金が1億円を超える法人などは、資格取得届などを電子申請で行う義務があります(手引き第1編P.9)。資本金1億円以下の会社は、この義務の対象としては挙げられていません。
社長以外が申請するとき
小さな会社では、社長ではなく総務や経理の担当者が手続きをすることがあります。厚生労働省の「労働保険関係手続の電子申請について」(2026年11月3日取得)によると、GビズIDプライムは法人代表者または個人事業主のアカウントで、担当者は事業主が作る「GビズIDメンバー」で申請できます。
この場合は、事前に「労働保険代理人選任・解任届」を出す必要があります。代理人には、総務・経理の担当者も含まれると書かれています。
雇用保険については、ハローワークの帳票一覧に「雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届」が載っています。担当者が電子申請するときにこの届が要るかどうかは、今回確認した公式ページに書かれていませんでした。
個人事業主の場合
個人事業主も、労働者を1人でも雇えば労働保険に加入し、同じ順番で手続きします。手引き第1編P.10によると、労働者を1人でも雇用する事業は、業種や規模にかかわらず雇用保険の適用事業です。
例外は、個人経営の農林水産業(農業用水供給事業、もやし製造業を除く)で、常時雇う労働者が5人未満の事業です。「暫定任意適用事業」とされ、加入は任意です。
個人事業主が書類を書くときは、次の点が会社と違います。
- 設置届の法人番号は記入不要です。事業所の名称には、屋号と事業主の氏名を書きます(手引き第1編P.16)
- 概算保険料申告書の法人番号の欄は、13桁すべてに「0」を書きます(P.14〜15)
- 登記事項証明書は法人事業所の場合の書類です。手引きは、そのほかに事業許可証、工事契約書、不動産契約書などを挙げています(P.12)。個人事業主がどれを出すかは、窓口に確認してください
- 電子申請のGビズIDは、個人事業主なら本人のアカウント(GビズIDプライム)です
税務署に出す開業届は、これらの手続きとは別です。開業届の出し方は、開業届の書き方と提出方法の記事で整理しています。
二元適用事業の場合:建設業・農林水産業など
手引き第1編P.10によると、二元適用事業は次のとおりです。労災保険と雇用保険を別々に扱い、保険料の申告・納付も別々に行います。
- 都道府県・市町村などが行う事業
- 農林水産の事業
- 建設の事業
- 港湾労働法が適用される港湾(東京港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港、関門港)での港湾運送の事業
二元適用事業の提出先は、次のように分かれます(「労働保険の成立手続」、手引き第1編P.11)。
| 手続き | 労災保険 | 雇用保険 |
|---|---|---|
| 保険関係成立届 | 労働基準監督署 | ハローワーク |
| 概算保険料申告書 | 労働局・労働基準監督署・金融機関 | 労働局・金融機関 |
| 設置届・資格取得届 | なし | ハローワーク |
期限は一元適用事業と同じです。申告書は、雇用保険がふじ色と赤色、労災保険が黒色と赤色の用紙になります。
誰が被保険者になるか:設置届と一緒に確認する点
設置届と一緒に出す資格取得届は、被保険者になる人ごとに出します。手引き第2編(令和8年8月版)P.9〜11、P.14〜16によると、主な区分は次のとおりです。
| 働き方・立場 | 被保険者になるか |
|---|---|
| 1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがある人(パート・アルバイトを含む) | なる。本人や事業主の希望にかかわらず加入 |
| 1週間の所定労働時間が20時間未満の人 | ならない(適用除外) |
| 同じ事業主に31日以上雇われる見込みがない人 | ならない(適用除外) |
| 昼間学生 | 原則ならない。卒業見込証明書があり卒業後も同じ事業所で働く予定の人、休学中の人などは例外 |
| 代表者(会長・代表取締役社長など) | ならない |
| 取締役・監査役など代表者以外の役員 | 原則ならない。従業員の身分を持つ兼務役員は、労働者としての実態が明確な場合に限りなる |
| 事業主と同居している親族 | 原則ならない。指揮命令に従い他の労働者と同様に働くなどの3つの条件をすべて満たす場合に限りなる場合がある |
| 試用期間中の人 | 雇用関係があり要件を満たせば、なる |
| 65歳以上の人 | 要件を満たせば、高年齢被保険者として、なる |
同居の親族の例外では、同居の親族以外の労働者がいない場合は被保険者にならないと、手引きは書いています。この「事業主」には、実質的に代表者の個人事業と同様と認められる法人も含まれると、手引きは書いています。
週20時間という基準は、2026年11月3日に確認した令和8年8月版の手引きの記載です。法律の改正で要件が変わることがあるので、雇う時点の最新の手引きで確かめてください。
手引きP.20は、被保険者が0人になり、今後も雇う見込みがないときに廃止届を求めています。最初から被保険者になる人がいない場合に設置届が要るかどうかは、今回確認した公式ページに書かれていませんでした。ハローワークに確認してください。
期限に遅れたとき・やり忘れていたとき
厚生労働省の「成立手続を怠っていた場合は」(2026年11月3日取得)によると、成立手続きを行うよう指導を受けたのに行わない事業主には、行政庁が職権で成立手続きと保険料の認定決定を行います。このとき、遡って労働保険料を徴収し、あわせて追徴金も徴収します。
事業主が故意または重大な過失で労災保険の成立届を出していない間に労災事故が起き、労災保険の給付をした場合は、給付にかかった費用の一部または全部も徴収されます。
同じページの説明は、次のとおりです。
- 最大2年間さかのぼった労働保険料と追徴金(10%)を徴収する
- 故意と認定されると、労災保険給付額の100%を費用徴収する。労働局から成立手続きの指導を受けたのに行わなかった場合が例として挙げられている
- 重大な過失と認定されると、給付額の40%を費用徴収する。労災保険の適用事業になってから1年を過ぎても手続きしない場合が例として挙げられている
まだ成立手続きをしていない場合は、速やかに管轄の労働基準監督署またはハローワークに相談するよう、同じページが案内しています。
手続きの内容に誤りがあった場合の扱いも確認しました。手引き第1編P.30のQ&Aは、設置日を間違えて届け出てしまった場合について、訂正は可能で、手続きを行ったハローワークに相談するよう書いています。資格取得届を期限後に出す場合は、前述のとおり添付書類が必要です(第2編P.18)。
保険料:概算保険料と年度更新
成立届を出したあとは、その年度の労働保険料を概算で申告して納めます。手引き第1編(令和8年8月版)P.33によると、年度の途中で成立した場合は、成立した日から3月31日までの賃金の支払見込額で計算し、成立した日の翌日から起算して50日以内に申告・納付します。
次の年度からは、毎年6月1日から7月10日までに、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料をまとめて申告します。「年度更新」と呼ばれる手続きです(P.33)。
雇用保険率は、手引き第1編P.31の表で、令和8年4月1日から令和9年3月31日までの分が示されています。一般の事業は1,000分の13.5で、うち事業主の負担が1,000分の8.5、労働者の負担が1,000分の5です。労災保険率は事業の種類ごとに決まり、1,000分の2.5から1,000分の88の範囲内とされています。
農林水産・清酒製造業の事業所と建設業の事業所は、別の率が表に示されています。自分の事業がどの区分にあたるか迷うときは、窓口に相談してください。
納付すべき概算保険料が40万円以上(労災保険か雇用保険の一方だけが成立している事業は20万円以上)なら、申請により分割納付(延納)ができます。労働保険事務組合に事務を委託している場合も延納できます(P.34)。新たに成立した場合の延納回数は、管轄の労働基準監督署に確認するよう書かれています。
従業員の雇用保険料を賃金から引くときは、被保険者の賃金総額に、労働者の負担分の率を掛けた額です(P.34)。
設置届のあとにやること
雇用保険の届出は、設置届で終わりではありません。手引き第1編(令和8年8月版)から、あとで必要になる届出を挙げます。
| 場面 | 出す書類 | 期限 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 事業所の名称・所在地、事業主の住所・氏名、事業の種類が変わった | 雇用保険事業主事業所各種変更届(労働保険名称、所在地等変更届も) | 変更のあった日の翌日から起算して10日以内 | P.17 |
| 事業を廃止・休止した | 雇用保険適用事業所廃止届 | 廃止した日の翌日から起算して10日以内 | P.20 |
| 毎年の年度更新 | 概算・確定保険料申告書と納付書 | 6月1日から7月10日まで | P.33 |
P.20は、事業を続けていても、雇う被保険者が0人になり、被保険者になる労働者を雇う見込みがないときは、廃止届を出すよう書いています。法人の代表者が変わるだけなら、変更の届出は要りません(P.17)。
雇用保険の書類は、完結の日から決まった期間、保管します。被保険者に関する書類は4年、労働保険に関する書類は3年、その他の雇用保険に関する書類は2年です(P.5)。
雇用保険のほかに、健康保険・厚生年金保険の手続きが必要になる場合があります。年金事務所に出す新規適用届は、社会保険の新規適用届の記事で整理しています。
会社を設立した直後の人は、税務署・自治体・年金事務所への届出もあります。全体は、法人設立後にやることの手続き一覧にまとめています。
自分で出すか、事務組合や社労士に任せるか
厚生労働省の「労働保険制度(制度紹介・手続き案内)」(2026年11月3日取得)は、各種の届出などの事務処理は、労働保険事務組合や社会保険労務士に任せることもできると案内しています。
労働保険事務組合は、事業主の委託を受けて労働保険の事務を処理する、厚生労働大臣の認可を受けた中小事業主等の団体です。委託できる事務には、保険関係成立届と雇用保険の事業所設置届の提出などが含まれます(「労働保険事務組合制度」、2026年11月3日取得)。
委託できる事業主は、常時使用する労働者が、金融・保険・不動産・小売業で50人以下、卸売・サービス業で100人以下、その他の事業で300人以下です。入会金や委託手数料が必要になる場合があります。
事務組合や社労士に頼むかどうかは、事務の量と費用を考えて決めます。具体的な費用や契約内容は、それぞれに確認してください。
よくある質問とまとめ
労働保険番号と雇用保険適用事業所番号は、何が違いますか
手引き第1編P.27によると、労働保険番号は適用事業ごとに付く14桁の番号で、保険料の申告・納付など、労働保険関係の届出に使います。成立届を出すと割り振られます。
雇用保険適用事業所番号は、適用事業所ごとに付く11桁の番号です。設置届を出したときに付与され、以後の雇用保険関係の届出に使います。設置届の用紙に書くのは、成立届の事業主控にある労働保険番号です。
従業員が家族だけの場合は、どうなりますか
事業主と同居している親族は、原則として雇用保険の被保険者にならないと、手引き第2編P.16に書かれています。例外は、指揮命令に従い他の労働者と同様に働いていることなど3つの条件をすべて満たす場合で、同居の親族以外の労働者がいなければ被保険者にならないとされています。
個別の判断が要るときは、ハローワークの雇用保険窓口に相談してください。
まとめ
初めて雇うときの順番は、労働基準監督署の保険関係成立届、概算保険料の申告、ハローワークの設置届と資格取得届です。成立届と設置届の期限は、いずれも成立した日(設置の日)の翌日から起算して10日以内です。
設置届には、成立届の事業主控、事業の実在を確認できる書類、賃金台帳・労働者名簿・出勤簿を持っていきます。電子申請もでき、電子証明書またはGビズIDが要ります。
個人事業主も、手続きの順番は同じです。個別の判断が必要な点は、労働基準監督署・ハローワークの窓口に相談してください。税務や法律の個別の判断は、税理士・社会保険労務士などの専門家にも確認できます。