結論:会社設立は「決める→作る→登記する→整える」の4段階で進める
会社設立の手順は、事業内容と資本金を決める段階、定款を作成する段階、法務局で登記申請する段階、登記完了後に法人口座や法人カードを整える段階の4つに分かれます。費用は株式会社の場合で登録免許税と定款認証手数料を合わせておおむね20万円前後が目安になります(金額の根拠は後述)。 登記が終わっても、法人口座と法人カードが使えるようになるまでは実務上の「もう一段階」があると考えておくと、スケジュールのずれが起きにくくなります。
会社設立(法人登記)の基本手順
法人登記は自分で申請することも、司法書士に依頼することもできます。どちらの場合でも、基本の流れは同じです。
- 会社の基本事項を決める(商号・事業目的・本店所在地・資本金・役員構成)
- 定款を作成する(紙の定款か電子定款かを選ぶ)
- 定款認証を受ける(株式会社の場合。合同会社は認証不要)
- 資本金を発起人の個人口座に払い込む
- 登記申請書類一式をそろえる(登記申請書・定款・印鑑届書など)
- 法務局へ登記申請する(窓口・郵送・オンラインのいずれか)
- 登記完了後、登記事項証明書と印鑑証明書を取得する
オンライン申請は法務省の「登記・供託オンライン申請システム」から行えます。操作画面や必要な電子証明書の準備方法は変更されることがあるため、申請前に公式サイトで最新の案内を確認してください。
法人登記にかかる費用の内訳
会社設立にかかる費用は、会社形態によって異なります。主な違いは登録免許税の最低額と、定款認証の要否です。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 資本金の0.7%(最低15万円) | 資本金の0.7%(最低6万円) |
| 定款認証手数料 | 資本金等の額に応じて3万〜5万円 | 不要 |
| 紙定款の印紙代 | 4万円(電子定款は不要) | 4万円(電子定款は不要) |
上記は一般的な制度の目安であり、資本金の額や定款の内容によって変わります。最新の金額は法務局および日本公証人連合会の公式サイトで必ず確認してください(本記事作成時点の確認日は2026年9月16日です)。 このほか、印鑑証明書や登記事項証明書の取得費用、司法書士に依頼する場合の報酬が別途かかります。
個人事業主から会社にするか迷っている場合は、判断の目安・メリットとデメリット・手続きの流れを個人事業主の法人化(法人成り)にまとめています。
法人口座を開設する手順と「開設しやすい銀行」の考え方
法人口座は、登記が完了し登記事項証明書が取得できてから申し込みます。金融機関によって審査の重点や必要書類が異なるため、複数の選択肢を比較しておくと安心です。
- 登記事項証明書・印鑑証明書・定款の写しを準備する
- 事業内容や取引予定先を説明できる資料(事業計画書・取引先との契約書など)を用意する
- 希望する金融機関の窓口またはオンライン申込フォームから申請する
- 審査(本人確認・事業実態の確認)を受ける
- 口座開設完了後、キャッシュカード・法人向けインターネットバンキングを設定する
「開設しやすい銀行」という単一の答えはなく、金融機関の種類によって審査で重視するポイントの傾向が異なります。以下は制度上の比較軸として整理したものです。
| 金融機関の種類 | 特徴の傾向 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 都市銀行・地方銀行 | 対面での事業説明を重視する傾向 | 実店舗・事業拠点がある会社 |
| ネット銀行 | オンライン完結で手続きが早い傾向 | 一人社長・少人数の会社 |
| 信用金庫・信用組合 | 地域内の事業実績を重視する傾向 | 地域密着で継続取引を予定する会社 |
自宅住所を本店所在地にしている場合や、事業実態の説明資料が少ない場合は、審査で追加の確認が入ることがあります。事前に金融機関の窓口へ相談しておくと手続きがスムーズです。
法人カードの作り方(一般的な流れ)
法人カードは、経費の可視化やガソリン代・消耗品費の一括管理に使われます。エネオスカードのように特定の用途(給油・車両経費管理など)に強みを持つカードもあれば、汎用的な経費精算向けのカードもあります。 申し込みの一般的な流れは次のとおりです。
- 登記事項証明書など法人の実在を証明する書類を準備する
- カード会社の公式サイトまたは窓口から申込フォームに入力する
- 代表者の本人確認書類を提出する
- 審査を受ける(法人設立からの期間や事業内容が確認されることが多い)
- カード発行後、利用限度額や追加カードの発行申請を行う
設立直後は決算実績がないため、審査で提出書類が求められることがあります。カードごとの申込条件・年会費・審査基準は変更されることがあるため、申し込み前に各カード会社の公式サイトで最新情報を確認してください。
会社設立や税務署への届出、会計ソフトの準備をまとめて進めたい場合は、起業準備向けの情報サービスを併用すると手順の抜け漏れを減らせます。 会社設立の公式サイトを見る
あなたの場合はどうする?状況別の分岐
読者の状況によって、優先すべき手続きの順番が変わります。以下の分岐を目安にしてください。
- すでに開業届を出している個人事業主が法人化する場合:登記手続き自体は新規設立と同じですが、屋号や取引先との契約名義の切り替え、資産の引き継ぎ方法を税理士に事前確認しておくと安心です。
- 法人か個人事業主かまだ決めていない場合:資本金・社会的信用・税負担の構造が異なるため、事業規模や取引先の要件(法人でないと取引できない場合があるかなど)を先に整理してから会社形態を選ぶと手戻りが減ります。
- 自宅住所を公開したくない場合:バーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記する方法がありますが、法人口座の審査で事業実態の確認が厳しくなることがあるため、契約前に金融機関へ相談しておくと安心です。
つまずきやすい注意点
会社設立で見落とされがちな注意点を整理します。手続きを始める前に確認しておくと、やり直しの手間を防げます。
- 定款の「事業目的」は、実際に行う事業だけでなく将来行う可能性がある事業も含めて記載しておくと、事業を追加するたびの定款変更登記を避けやすくなります。
- 資本金の額は、法人口座開設や許認可の要件(業種によって最低資本金の条件がある場合)に影響するため、事業内容に応じて確認してから決めます。
- 決算期(事業年度の終了月)は、繁忙期を避けて設定すると決算業務の負担が分散しやすくなります。
まとめ
会社設立は「決める→作る→登記する→整える」の順で進めると、手続きの抜け漏れを防ぎやすくなります。費用は株式会社で20万円前後が目安ですが、正確な金額は法務局・日本公証人連合会の公式サイトで確認してください。 法人口座や法人カードは登記完了後に申し込みが始まるため、事業計画書や取引先資料など審査に必要な書類を早めに準備しておくと、設立後の実務がスムーズに立ち上がります。