結論:Zoom の「領収書」は請求書(invoice)のPDFで取る
Zoom の公式ヘルプでは、請求の書類は「invoice(請求書)」と案内されています。オーナー・管理者・請求権限のあるユーザーが、Zoom のウェブポータルの Plans and billing から表示・検索・PDFダウンロードできます。「領収書」という名前の別の書類は、公式の案内で確認できませんでした。
日本の消費税(JCT)は、「Sold To(販売先)」の住所が日本なら課されます。Zoom Communications Inc. は適格請求書発行事業者で、登録番号は T6700150118763 です。2023年10月1日以降、販売先が日本の請求書にこの番号が載ると公式に書かれています。
この記事で分かることは次のとおりです。
- 請求書を取れる人と、取り方の手順
- 請求書に載る項目と、宛名・会社名の入れ方
- 消費税・インボイスの扱いと、勘定科目の選択肢
- 保存の要件と、最後に確認するチェックリスト
Zoom の領収書は請求書PDF。権限がないと見えない
Zoom の画面で「領収書」を探しても、その名前のメニューは公式ヘルプの取得ページには出てきません。経費の証憑として使う書類は、請求書(invoice)のPDFと考えるのが公式の案内に沿った整理です。
請求書を表示・検索・ダウンロードできるのは、次の人です。
- アカウントのオーナー
- 管理者(admin)
- 請求(billing)の権限を持つカスタムロールのユーザー
「会議には入れるのに請求の画面が出ない」場合は、権限がないことが考えられます。ひとり社長や個人事業主で自分がオーナーなら、通常は自分で取得できます。従業員がいる会社では、オーナーか管理者に権限を確認してください。
なお、リセラー(販売代理店)経由で購入した場合は、Zoom の公式ヘルプも「リセラーに確認」と書いています。この場合、書類の出し方は購入元によって異なります。
Zoom の請求書の取り方(領収書発行の代わりになる手順)
Zoom の公式ヘルプにある手順は次のとおりです。画面の表示は英語です。
- Zoom のウェブポータルにサインインします。
- 右上のプロフィール画像(またはイニシャル)をクリックし、Plans and billings を選びます。
- Payment History または Invoice History のタブに、請求書の一覧が表示されます。
- 検索と絞り込みで、期間・ステータス・請求書番号を指定して探します。
- 請求書番号をクリックすると、内容が表示されます。
- 必要に応じて Print を押すか、請求書番号の横のチェックボックスを選んで Download を押すと、PDFで保存できます。
一覧に出る状態表示は、次の4種類です。
| 表示 | 意味(公式の説明) |
|---|---|
| Open | 請求書が未払い |
| Processing | 処理中 |
| Paid | 支払い済み |
| Credit | クレジット |
経費の証憑にするなら、支払いが済んだ請求書かどうかを状態表示で確かめてから保存すると整理しやすくなります。
Zoom の請求書に載る項目
請求書には、主に次の項目が載ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Invoice Date | 請求日 |
| Invoice # | 請求書番号 |
| Account Number | アカウント番号 |
| Currency | 通貨 |
| Payment Method | 支払方法 |
| Account Legal Name | 請求のために登録された、アカウントに紐づく組織の正式名称 |
| Sold To Address | 販売先の住所 |
| Bill To Address | 請求先の住所 |
| Charge Details | 請求の明細 |
| Taxes, Fees & Surcharge Details | 税・手数料・追加料金の内訳 |
| Transactions | 取引の情報 |
公式ヘルプには、表示される情報はアカウントや請求の設定によって変わることがあると書かれています。自分の請求書にこれらがすべて載るとは限りません。実物のPDFで、必要な項目があるかを確認してください。
宛名・会社名を請求書に入れる方法
宛名や会社名は、Zoom 側の連絡先情報(Contact Information)で設定します。変更できるのは、アカウントオーナー、管理者、請求権限を持つ役割のユーザーです。
- Plans and Billing をクリックし、Billing Management を開きます。
- Contact Information の項目で、Sold To Contact の右にある Edit をクリックします。
- 氏名、メールアドレス、住所を入力します。
- 会社名や組織名を入れる場合は「Edit Company/Organization Name」から入力します。仕事用のアカウントの場合に入れる欄と案内されています。
- Account Type で、Personal Account か Business Account のどちらかを選びます。
- 請求先を分けたいときは「Use the same contact information for billing」のチェックを外し、Billing Contact を別に入力します。
- Save をクリックします。
公式ヘルプでは、Billing Contact は購読料を支払う人、Sold To Contact は通常アカウントオーナーで購読を使う人と説明されています。
あなたの場合の分岐は次のとおりです。
- 個人事業主で屋号を宛名にしたい場合: 会社名・組織名の欄に入力する方法があります。ただし、屋号と氏名のどちらが請求書に載るかは、画面の入力と請求書の表示を見て確かめてください。
- 法人の場合: 登記上の正式名称を入れます。Account Legal Name は「請求のために登録された正式名称」と説明されています。
- 自宅住所を出したくない場合: Sold To の住所は請求書に載る項目です。入れる住所は、入力前に決めてください。
発行済みの請求書が、この変更で書き換わるかどうかは、公式の案内で確認できませんでした。宛名は、最初の請求の前に設定しておくほうが安全です。カード側の請求先住所の更新は、別の手順(支払い方法の更新)で行います。
Zoom の消費税とインボイス(適格請求書)
Zoom の公式ヘルプ「JCT(日本の消費税)」の要点は次のとおりです。
- Zoom から直接購入する場合の案内です。リセラー経由なら、リセラーに確認します。
- Sold To の住所が日本の顧客は、日本居住者として扱われます。リセラーでない限り、JCT が課されます。
- 最低購入金額はなく、すべてのサービスに適用されます。
- 登録番号 T6700150118763 は、2023年10月1日以降、Sold To が日本のすべての請求書に記載されます。
- 2023年10月1日以降に発行された Sold To が日本の請求書は、適格請求書の要件に沿って発行されます。
- JCT は請求書全体で四捨五入されます。
- 日本円以外の通貨で請求される場合、JCT の合計額の日本円表示も請求書に付きます。
- 2023年10月1日より前の請求書は、登録番号などを加えて再作成されることはありません。
- Sold To の住所が正確であることは、顧客の責任とされています。
Zoom 公式ヘルプは、この登録番号を国税庁のサイトで確認できるとしています。ご自身で国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトに番号を入れて確認してください。Zoom 公式ヘルプには「税務アドバイスではない」との免責もあります。
国税庁のルールのおさらいと、あなたの区分による違い
国外の事業者によるインターネット経由のサービスには、事業者向けと消費者向けの区分があります(国税庁タックスアンサー No.6118)。事業者向けは、国内の事業者が「特定課税仕入れ」として申告・納税する仕組み(リバースチャージ)です。消費者向けは、国外事業者が申告・納税します。
インボイスの保存については、国税庁のQ&A(問103-3)に次の整理があります。
| 区分 | 仕入税額控除の条件 |
|---|---|
| 事業者向け | 適格請求書の保存は必要なく、一定の事項を記載した帳簿の保存で控除が可能 |
| 消費者向け | 国外事業者から交付された適格請求書の保存が必要 |
Zoom がどちらに当たるかは、サービスの性質や取引条件によるため、この記事では断定しません。
あなたの区分によって、扱いは変わります。
- 免税事業者: 消費税の申告をする必要がないため、特定課税仕入れの申告も不要です(タックスアンサー No.6118)。
- 簡易課税や2割特例・3割特例を使う場合: 受け取ったインボイスを保存しなくても仕入税額控除を受けられる、と国税庁の特設サイトにあります。
- 一般課税の課税事業者: 国税庁の特設サイトでは、インボイスがない経費は原則として仕入税額控除ができないとされています。
請求書に限らず、所定の事項が載った書類なら、領収書や納品書など名称を問わずインボイスになります。個別の判断は税理士や税務署に相談してください。海外サービス全般の考え方は海外SaaSの消費税とインボイスの整理にまとめています。
Zoom の勘定科目は何を選ぶか
国税庁の案内から、「Zoom はこの科目」と断定できるものはありません。国税庁の説明に、利用の実態を当てはめて選びます。
| 科目 | 国税庁の説明 | 当てはまりうる場面 |
|---|---|---|
| 通信費 | 事業用として使用した電話料、切手代、電報料など | 通信回線を使うサービスとして整理する場合 |
| 消耗品費 | 帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費など | 少額の利用料として整理する場合 |
| 雑費 | 事業上の費用で他の経費に当てはまらない経費 | 他の科目に当てはまらないと判断する場合 |
Zoom は通信回線を使うサービスなので、通信費に当たるかが論点になります。ただし国税庁の説明は電話料や切手代などの例で、SaaS の名指しはありません。当てはまるかは、判断が分かれることがあります。
一度決めた科目は、毎年同じ扱いにして帳簿で一貫させると整理しやすくなります。私用と併用している場合は、事業分だけを経費にする按分が必要です。考え方は経費になるもの・ならないもので解説しています。迷う場合は税理士か税務署に相談してください。
請求書PDFの保存で押さえる要件
Zoom からダウンロードしたPDFは、電子帳簿保存法の「電子取引データ」に当たります。国税庁の資料では、紙でやりとりしていれば保存が必要な書類(領収書、請求書など)に相当するデータを保存する必要があるとされています。
主な要件は次のとおりです。
- ファイル形式は問われません。PDFや、スクリーンショットでも差し支えありません。
- 改ざん防止の措置をとります。
- 「日付・金額・取引先」で検索できるようにします。
- ディスプレイやプリンタ等を備え付けます。
検索要件には、規則的なファイル名を付ける方法や、表計算ソフトで索引簿を作る方法があります。たとえば「日付_Zoom_金額」のように名前をそろえる方法です。
国税庁の一問一答では、ウェブ上で確認できる状態になった時点が授受のタイミングとされています。ダウンロードしなければ保存義務が生じない、というものではありません。まとめてダウンロードする場合も、その年分のうちに保存します。詳しい要件は領収書の電子保存の対応を参照してください。
経費にする前のチェックリスト
- 自分は Zoom のオーナー、管理者、請求権限のあるユーザーのいずれかか
- リセラー経由の購入ではないか(その場合は購入元に確認)
- Plans and billings で、対象期間の請求書を検索できたか
- 請求書の状態が Paid(支払い済み)か
- Sold To の住所・会社名・Account Type は正しいか
- 2023年10月1日以降の請求書に T6700150118763 が載っているか
- 自分は課税事業者か、免税か、簡易課税かを確認したか
- 勘定科目を決め、毎年同じ扱いにするか
- 私用との併用があれば、按分の割合を決めたか
- PDFを、日付・金額・取引先で検索できる形で保存したか
次の一歩:帳簿に入れて、申告まで通す
請求書を取り、宛名と税の扱いを確認できたら、次は帳簿への記帳です。取引の記録、科目の統一、申告書の作成まで一続きで進められる道具があると、毎月の作業が整理しやすくなります。
他のサービスの書類については、次の記事も参考にしてください。